【1月1日 AFP】たった3晩よく眠れなかっただけでグルコースの処理能力が大幅に低下し、糖尿病を発症する可能性が高くなることが、シカゴ大学(University of Chicago)医学部研究グループが12月31日に発表した研究で明らかになった。

 研究には20-31歳の肥満ではない健康な成人9人が参加。被験者は5晩にわたり研究室で午後11時に就寝し、午前7時半に起床した。

 最初の2晩は被験者の睡眠を妨害せず、残る3晩は、被験者の脳波が深い眠りを示す時にベッドのそばに設置したスピーカーから低い音を流した。

 音は被験者を起こすほど大きくはなかったが、その音によって深い眠りに入ろうとしたところを浅い眠りに引き戻され、深い睡眠の時間が約90%減少した。

 これは60歳以上の高齢者の典型的な睡眠パターンとよく似ている。高齢者は一般に深く眠るのはたった1晩で20分間とされており、これに対し若い成人は80-100分間深く眠る。

 睡眠を妨害した後に被験者を検査した結果、インスリン感受性が25%減少していた。これは同量のグルコースを処理するためにより多くのインスリンを必要としていることを示している。

 この研究で、若くて健康な成人は連続3晩深い眠りを妨げられると耐糖能が低下して体重が8-13キロ増えることが判明。高齢者および肥満者は睡眠不足によって糖尿病を発症する可能性もあると、研究グループは結論づけている。

 研究の著者である同大学のEve Van Cauter教授は、「これまでの研究で、慢性的あるいは一時的な睡眠不足、食事の変化、代謝の異常、肥満、糖尿病発症に関連性があることは証明されているが、今回の研究の結果、睡眠不足が及ぼす影響が新たに判明した。睡眠不足は老化現象とも関連がある」と指摘している。

 この研究結果は2日発売の米国科学アカデミー紀要(Proceedings of the National Academy of SciencesPNAS)に掲載される。(c)AFP