【12月19日 AFP】緑茶を1日に5杯以上飲む男性は、進行性の前立腺がんを発症するリスクが、1杯未満の人に比べて半減するとの調査結果を、厚生労働省の研究班が19日、疫学専門誌American Journal of Epidemiology(電子版)に発表した。

 国立がんセンター(National Cancer Centre)によると、研究班は1990年と93年に全国の40歳から69歳までの男性4万9920人を調査、その後2004年まで健康状態に関する追跡調査を行った。この間に、404人が新たに前立腺がんと診断され、うち114人が進行性、271人はがんが前立腺にとどまる限局性、19人は未確定だった。

 緑茶を1日に飲む量を基準に分析したところ、5杯以上飲む男性が進行性前立腺がんにかかるリスクは、1杯未満の男性に比べて50%低くなることが分かった。

 この分析結果から研究班は「緑茶は進行性前立腺がんのリスクの低下と関連があるとみられる」と結論づける一方、限局性前立腺がんについては「緑茶との関連はみられなかった」としている。研究班によると、緑茶に含まれるカテキンと呼ばれる成分が、前立腺がんの危険因子とされる男性ホルモンのひとつ「テストステロン」を抑制することによって、発がんリスクを低下させる一因となっているとみている。

 アジアにおける前立腺がんの発症率は、欧米に比べて特に少ない。この事実から、前立腺がんの発症と緑茶の消費量には関係があるとの仮説に基づいて、今回の調査は始められた。(c)AFP