【11月9日 AFP】9日午前の閣議に提出された「自殺対策白書」によると、2006年の国内自殺者数は9年連続で3万人を超え、職場でのうつ病対策が求められている。

 白書によると2006年の自殺者数(自殺死亡率)は3万2155人で、旧ソ連圏を除いて世界最悪の水準にある。

 自殺者は長引く不況に伴う終身雇用制の崩壊が進んだ1990年代半ばから急増したが、景気回復による求人増に伴い、2006年は前年比1.2%減となった。

 白書は前年、高い自殺率を受けて前年施行された自殺対策基本法に基づき初めて作成された。

 自殺者数の内訳は55-64歳の男性が半分以上を占めた。自殺者全体の48%が無職で、健康面や経済面、家庭内の問題が主な要因となっている。白書では精神面での健康支援とカウンセリングを増やすよう呼び掛けられた。 

 政府は今年4月、今後10年間で自殺死亡率を20%減少させる目標を設定。精神科への受診や、残業を強要しないことなどを勧めている。また、失業者の相談サービスの充実や自殺サイトの取り締まり、鉄道駅の飛び込み防止柵の導入などが検討されている。(c)AFP