【11月9日 AFP】ケープタウン(Cape Town)で8日、国際結核肺疾患予防連合(International Union Against Tuberculosis and LungIUATLD)の肺の健康に関する世界会議が開催され、専門家らは現在入手可能な結核治療薬に対する耐性の強まりにより治療不可能な新しい菌が出現し、世界を脅威にさらす可能性があると警告した。

世界保健機関(World Health OrganisationWHO)の「Stop TB」計画の責任者、Mario Raviglione医師はAFPに対し、「危機は現実のものだ」とし、「終末論的なシナリオが実現する可能性はなさそうだが、可能性がないわけではない」と語った。

同医師によると、最近イタリアで、現在入手可能なすべての結核治療薬に対する耐性の症例が2-3件報告されており、すべての患者が死亡したという。

世界で約20億人が結核に感染しているが、うち約45万人が耐性結核菌に感染しており、毎年160万人が死亡している。

また、世界41か国で少なくとも1件の広範囲薬剤耐性結核菌(XDR-TB)の症例が報告されているが、アフリカの多くの国ではこの菌を検出できる研究施設がないため、数値はさらに増える可能性もある。

薬剤耐性結核菌は、結核に感染した患者が完治するまで治療を受けなかった場合などに生じ、ヒトからヒトへと直接感染する場合もある。

多剤耐性結核菌(MDR-TB)の患者は、普及している中で最も強力な2薬剤に対し耐性を示し、XDR-TBの患者は、3種類の高レベルな注射製剤のうち少なくとも1つに耐性を示す。

Raviglione医師は、治療が不適切で治癒率が必要とされる85%を割り込むと、薬物耐性はさらに発生すると警鐘を鳴らしている。(c)AFP/Mariette le Roux