【10月20日 AFP】「頭の働きを活性化する」ことを売り物にしたコンピューターゲームが開発され、米国の高齢者の間で人気を呼んでいる。

 ある種のコンピューターゲームは頭の柔軟体操となり、認知症、視力の減退に悩む高齢者に有効であることが認められつつある。

 高齢者のためのゲームを作る企業が増え、「ニンテンドーDS」の「DSトレーニング」の北米版「Brain Age」は、米国だけで140万本、世界全体では860万本を売り上げた。

 任天堂(Nintendo)は特に健康的な効能をうたってはいないものの、脳生理学者の川島隆太(Ryuta Kawashima)教授の開発した「Brain Age」は、記憶、数学、読書、音楽などの能力を求める「難しい問題をふんだんに盛り込み、脳の前頭前皮質を刺激し、蓄えられた知識の日常生活への応用力が高まる」としている。

 高齢者の生活を研究し、任天堂の広報担当者も務めるジョージ・メイスン大学(George Mason University)のアンドルー・カール(Andrew Carle)準教授は「ベビーブーム世代の高齢者は頭脳を鍛えて、知的に活動的な状態を維持したいと考えており、ゲームはその目的に有効だ」と語る。

「ゲームは新しくても、脳生理学の原理は昔から存在した。身体と同様に頭脳も鍛えることができるのは昔から経験的にわかっていた。頭脳には柔軟性があって、失った機能は神経細胞や脳の回路を鍛えることで回復できるので、精神と神経を活発な状態に維持することを助けてくれる商品への需要は高齢者の間で高まっている」

「たかがゲームと侮ってはならない。ゲームをすることで視力が戻り、ものごとへの反応時間が短縮されれば、自動車を運転できる年齢も延びる。それだけで高齢者の生活はがらりと変わる」(c)AFP