【10月9日 AFP】中国国内で、死刑囚の遺体からの臓器移植が、緊急に臓器提供を必要とする親族がいる場合を除いて禁止される見通しとなった。英字紙チャイナ・デーリー(China Daily)が8日報じた。

 それによると、国内の医師50万人以上が所属する「中華医学会(Chinese Medical Association)」が前週、欧州で開催された国際医学会で、移植用臓器の管理体制の強化を表明したという。

 中国では本人や親族の同意を得ずに死刑囚の遺体から臓器移植を行うことが慣例化しており、長らく海外の人権団体から非難されてきた。

 また多くの病院が、交通事故や疾病などで死亡した患者の臓器を遺族に断りなく移植用に使用してきたとして、しばしば批判を受けている。

 これらの批判に対し中国政府は、移植された臓器は生前に臓器提供の意志を示していた一般市民や死刑囚のものだとして、疑惑を否定している。

 中華医学会の臓器管理体制強化は、これらの批判にこたえる形となるものといえる。
 
 強化体制が導入された場合、死刑囚からの臓器提供は激減するものとみられる。死刑囚の親族に緊急に臓器提供を必要とする患者がいる可能性は極めて低いからだ。

 一方で、関係機関に強化体制を強制する権限が医学会にあるかどうかは不明だ。

 中華医学会の分科会で臓器提供部門を担当するChen Zhonghua氏の談話としてチャイナ・デーリーは、5月1日に臓器提供に関する規制が強化された結果、死刑囚からの臓器提供が激減する一方で、親族からの生体移植や、亡くなった一般市民からの臓器提供が増加している事実を明らかにしている。

 5月1日施行の同規制は、すべての個人および団体に対し、形態にかかわらず臓器取引を全面的に禁止するもの。(c)AFP