【7月24日 AFP】世界保健機関(WHO)は、今年はアジア各地でデング熱が再び猛威を奮う可能性があると警告。1500人近くの死者が出た1998年と同程度の犠牲者が出る可能性があると予想している。

 今年はアジア各地でデング熱の感染報告件数が大幅に増えており、インドネシアだけですでに1000人以上が死亡。タイでは今年に入ってから半年で1万9000件、うち18人が死亡している。ほかの多くの地域でも、死者数および感染者数が急増し、6月までで既に前年1年間の合計を上回っている。

 フィリピンにあるWHO事務局のマラリアほか疫病の顧問、John Ehrenberg氏によると、アジア地域全体から感染急増の報告を受けているとのことで、「今年は最悪の被害が出る可能性がある」とAFPに語った。

 ネッタイシマカ(Aedes aegypti)によって媒介されるデング熱の致死性は、世界で毎年270万人が命を落とすマラリアとは比べものにならないが、その治療方法とワクチンは開発されていない。デング熱による犠牲者の多くはウィルスに対する抵抗力の弱い子どもと高齢者で、感染後に内出血で死亡するケースがほとんど。

 最も効果的な感染拡大予防策は、蚊の繁殖場所となる水たまりなどの管理とされているが、いったん雨期が始まると、この対策は実施が難しくなる。

 今年はアジアの大半の地域で例年より早く雨期が訪れており、デング熱の流行は、これが原因ではないかと見られている。

 Ehrenberg氏は「ネッタイシマカは熱帯の温暖な気候と雨期を好むため、デング熱の急増と雨期の間には相関関係が見られる」とし、「気温が上昇するほど、深刻な流行の危険が大きくなる」と語った。(c)AFP/Karl Wilson