【7月3日 AFP】「日常的なにおいを識別できないのはアルツハイマーの初期症状」だとする研究が、2日出版の『Archives of General Psychiatry』誌7月号で発表された。

 これまでもアルツハイマーの初期症状が脳の嗅覚をつかさどる領域に現れることは知られていたが、米国シカゴ(Chicago)のラッシュ大学医療センター(Rush University Medical Center)の医師チームは、54-90歳の被験者589人を対象に、レモン、チョコレート、黒こしょう、バナナ、石けんなど12種類の日常的なにおいについて、多岐選択式の識別試験を実施した。

 1997年の調査開始時には被験者すべてが認知機能に異常はなかったが、5年間にわたり毎年調査を続けるうちに、30.1%の被験者が軽度の認知障害を発症した。研究結果では、軽度の認知障害が進行するリスクはにおい識別能力の低下とともに増加し、におい識別試験のスコアが平均以下の被験者は、平均以上の被験者より軽度認知障害を発症するリスクが50%高いという。

 研究チームは「におい識別能力の低下はアルツハイマーの初期症状の兆候である可能性があることを示している」と結論づけた。その一方で、「加齢に伴うにおい識別能力低下の神経医学的根拠は明らかになっていない。においの識別が困難になるという症状は、パーキンソン病などほかの神経性疾病とも関連がある」とし、さらなる調査の必要性を示した。(c)AFP