【6月22日 AFP】魚とナッツ類を中心にした健康的な食事で、遺伝的に前立腺ガンになりやすい男性の死亡率を下げることができるかもしれないとの研究論文が、医学誌「Journal of Clinical Investigation」(電子版)に掲載された。これらの食材に含まれるオメガ3脂肪酸に、病気の発生を抑制する効果があるとしている。

 研究によると、前立腺腫瘍(しゅよう)が発達するよう遺伝子操作したマウスに、分量の異なるオメガ3脂肪酸を混ぜた餌を与えたところ、大量のオメガ3脂肪酸を与えたマウスでは腫瘍の発生数が少なく、平均寿命も延びたという。

 生存率は、オメガ3脂肪酸の量が多かったマウスでは60%、少量だったマウスは10%だった。同じく多価不飽和脂肪酸で、植物性油に含まれるオメガ6脂肪酸を大量に与えたマウスの生存率は、0%だった。遺伝子操作をしなかったマウスの生存率は、餌の種類にかかわらず100%だった。

 この実験は、米国立衛生研究所(National Institutes of HealthNIH)の資金援助を受けて、ノースカロライナ州ウィンストン・セーラム(Winston-Salem)ウェイクフォレスト大学医学部(Wake Forest University School of Medicine)の研究チームが行った。

 研究を主導したYong Q. Chen主任研究員は、「食事がガンの死亡率を左右することをはっきり示した実験結果だ。食生活の差が、生きるか死ぬかの分け目となることもあり得る」と述べた。

 オメガ3脂肪酸はサケ、オヒョウ、マグロ、イワシやサバといった冷水に住む魚や、タラの肝油などの魚油、クルミやアマニ油に含まれる。

 これまでの研究で、オメガ3脂肪酸には循環器疾患や低血圧をわずかに抑える効果があることが分かっているが、NIHは、摂りすぎは過度の出血などの悪影響を及ぼすと指摘している。(c)AFP