【6月8日 AFP】白血病の子どもの治療について、さい帯血(胎児と母体をつなぐへその緒と胎盤の中に含まれる血液)は従来の「骨髄」よりも有効であるとするミネソタ大学(University of Minnesota)の研究結果が、9日付け英医学誌「The Lancet」に発表された。

 白血病の治療には、通常は、骨髄移植という方法がとられる。しかし、この場合は患者と骨髄ドナーの白血球の型が一致する必要があり、一致する確率は兄弟姉妹でも3人に1人以下だ。さらに、骨髄移植手術には、感染症などの危険がある。

 そこで最近注目されているのが、造血幹細胞(血を作る細胞)を多く含むさい帯血の移植だ。ただし、これに含まれる2つの抗原が一致しない場合には移植時に拒絶反応が起きる可能性が指摘されていた。

 ミネソタ大学の血液学者ジョン・ワグナー(John Wagner)博士らは、さい帯血移植と骨髄移植の比較研究を行い、さい帯血の「抗原の不一致」は移植患者に対し一般に考えられているほどの害はもたらさないことが判明した。

 研究では、急性白血病の16歳以下の子どもについて、さい帯血移植を受けた503人と骨髄移植を受けた282人の生存率を比較した。

 その結果、抗原が1つ以上一致しないさい帯血の移植を受けた子どもの生存率は、骨髄移植を受けた子どもと同等であることが判明した。また、抗原が完全に一致するさい帯血の移植を受けた子どもの生存率は、骨髄移植の場合よりも高かった。

 ただし、抗原が2つとも一致しないさい帯血を移植された子どもの死亡率は、移植量にかかわらず、骨髄移植の場合の2倍にのぼった。また、抗原が1つだけ一致しない場合は、移植量が多いほど死亡率は低下した。

 ワグナー博士らは、「被験者の子どもの数が少なく、今後も研究を続ける必要がある」としつつも、抗原が一致しない場合でもさい帯血の子どもへの移植は有効だとして、さい帯血バンクや抗原検査の拡充を訴えている。