【パリ/フランス 29日 AFP】肥満防止に大きな効果があることで注目されている抗肥満薬「リモナバン(Rimonabant)」が、糖尿病リスクの削減にも効果があるとの試験結果が発表された。
■2型糖尿病患者に効果
リモナバンが、2型糖尿病患者の減量に効果を発揮し、血糖値および血中脂質量を下げることに成功したという。27日、英医学誌「The Lancet」オンライン版が研究結果を報じた。
2型糖尿病は生命を脅かすこともある病気で、通常は成人後に発症する。過去40年間の先進国における糖尿病患者数の増加に比例し、2型糖尿病の患者数も爆発的に伸びている。2型の危険因子として、血糖値と血中脂質量以外に、高血圧や悪玉コレステロール値なども指標として用いられている。
■1年で5.3キロの減量に成功
研究は、ベルギーのAndre Scheen博士のチームが、11か国1047人の2型糖尿病患者について、肥満や体重過多についても試験を行った。
対象者を3つのグループに分け、各グループにそれぞれリモナバンを1日5ミリグラムと20ミリグラム、さらに偽薬を与えた。同時に全員に、必要カロリーよりもわずかに少ないカロリー摂取による減量計画を示し、運動も勧めた。
1年後、5ミリグラムのグループは平均2.3キロ、20ミリグラムのグループは5.3キロ減量した。偽薬のグループの減量は、平均1.4キロ減にとどまった。
また、心臓病リスクを下げるといわれている善玉コレステロール(HDL)値は、20ミリグラムグループで17%上昇し、偽薬グループの上昇率の2倍以上だった。
各グループとも途中で服用を中止した人が約3分の1いたが、リモナバン摂取に「患者は概して負担を感じなかった」と研究ではまとめている。副作用を理由に中止した人の大半は20ミリグラムグループに属した患者で、憂うつ感、嘔吐感、めまいなどが症状として現れた。
■米国では未認可のリモナバン
この結果を受け、2型糖尿病患者に対し、食事療法や運動といった減量計画に加え、1日20ミリグラムのリモナバン摂取を推奨している。
リモナバンの製造元は、仏製薬大手サノフィ・アベンティス(sanofi-aventis)で、今回の研究スポンサーとなっている。
リモナバンは、カナビノイド受容体遮断薬と言われる新世代治療薬の一種で、脳内で食欲中枢に関与する神経伝達物質カナビノイド受容体に働きかけ、食欲やアルコールやニコチンなどの嗜好物への欲求を抑制する。
2006年6月には、糖尿病リスクのある肥満症と診断された患者向けに、食事療法・運動療法と併用できる抗肥満薬として、欧州連合(EU)に認可された。欧州市場では「アコンプリア(Acomplia)」の名で販売されている。
米国では、米食品医薬品局(FDA)が認可に慎重な姿勢を見せており、2月にはサノフィに対して、さらなる情報提出を要請した。この要請の詳細な内容については公表されていない。
■禁煙、アルコール依存などにも効果?
リモナバンに対する需要は高く、リモナバンの薬剤分子が国際的に認可されれば、サノフィの収益は肥満・減量対策分野だけで、年間20億ドル~30億ドル(約2351億円~3527億円)に達するとの報告もある。
同社は、禁煙支援や糖尿病治療、アルコール依存症治療などでのリモナバンの効果についても研究を継続している。
ただ、食物や刺激物に対する欲求に関連する神経回路「エンドカンナビノイド・システム」はまだよく解明されていないことや、リモナバンの代謝作用に対する影響の有無などについて断定できない状態であることから、リモナバンに対する過剰な期待には警告の声もある。
過去、数千人規模の試験で効果を発揮し、大型新薬としてもてはやされた薬の中には、何百万人もが使用を開始してから一定期間後に、予期していなかった身体・心理的副作用が発見されたものもある。
写真は、ヨーロッパで一番肥満度の高い国・英国で、サンドイッチ店から出てきた女性(10日撮影)。(c)AFP/PAUL ELLIS
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