【9月20日 AFP】フランス印象派を代表する画家、ピエール・オーギュスト・ルノワール(Pierre-Auguste Renoir、1841-1919)の手紙や写真、石膏彫刻や素描、身の回りの品など100点以上が19日、米ニューヨーク(New York)で競売に掛けられ、総額約130万ドル(約1億3000万円)で落札された。この競売をめぐっては、フランス在住のルノワールのひ孫が批判していた。

 競売大手ヘリテージ・オークションズ(Heritage Auctions)によると、一連の品はルノワールの孫に当たる故ポール・ルノワール(Paul Renoir)氏が所有していたもので、ルノワールの遺品としては世界最大のコレクション。2005年にポール氏によって、米南西部アリゾナ(Arizona)州の画廊リマ・ファインアーツ(Rima Fine Arts)に売却されたものだという。

 ただ、フランス在住のルノワールのひ孫、ジャック・ルノワール(Jacques Renoir)氏は「私物の遺品を競売に掛けるのは、ルノワールの私生活をバラバラにするものだ」と批判。オレリー・フィリペティ(Aurelie Filippetti)仏文化相、オルセー美術館(Orsay Museum)、ルノワール美術館(Renoir Museum)に公開書簡を送り、両美術館にコレクションの一部を買い取ってもらいたいと訴えていた。

■彫刻ほとんど売れず

 今回落札されたコレクションには、ルノワール愛用の眼鏡やサイン入りの水玉模様のスカーフ、婚姻証明書、同時代の芸術仲間であるクロード・モネ(Claude Monet)やエドゥアール・マネ(Edouard Manet)、オーギュスト・ロダン(Auguste Rodin)ら友人たちがルノアールに宛てた手紙などが含まれている。

 また、ルノアールが1919年12月3日に78歳で死去する数時間前に完成したとされる絵画「Les Becasses(ヤマシギ)」には、予想落札価格を上回る12万5000ドル(約1250万円)の値が付いた。

 しかし、晩年のルノワールが南仏カーニュシュルメール(Cagnes-sur-Mer)コレット(Collettes)の自宅アトリエで、若き助手リシャール・ギノ(Richard Guino)の助けを得ながら制作したオリジナルの石膏彫刻の多くは落札されず、落札されても予想落札価格を大きく下回る値が付いた。コレクションの中で最も高値が付くとみられていた高さ1.8メートルの彫像「La Grande Venus Victrix(偉大な勝利のビーナス)」の落札額も54万5000ドル(5400万円)と予想のほぼ半額にとどまった。

 ヘリテージ・オークションズは競売前、コレクションの落札総額を300万ドル(約3億円)と見込んでいた。(c)AFP/Brigitte DUSSEAU