【5月16日 AFP】(写真追加)中米ベリーズ北部にある約2300年前のマヤ文明の遺跡にあったピラミッドを、地元政治家が経営する建設業者が切り崩したとして、地元当局が非難の声を上げている。業者はピラミッドから採取した石を、道路の補修工事に利用する計画だったという。

 ピラミッドが破壊されていることが明らかになったのは先週末。当局は、ベリーズ市(Belize City)市長選の与党候補であるデニー・グリハルバ(Denny Grijalva)氏が経営する建設会社、D-Marが行ったものとしているが、グリハルバ氏はこの件について、知らなかったとして関与を否定している。

 ベリーズ市の北西約80キロメートル、メキシコとの国境に近いノームル(Noh Mul)遺跡にあった高さ30メートルのピラミッドは、すでに小さく積み上げられたがれきの山となっている。

 トレイシー・パントン(Tracy Panton) 観光・文化相は14日夜、ベリーズのテレビ局、チャンネル・セブン(Channel 7)に対し、「ベリーズの文化的、歴史的遺産を全く尊重しない行動であり、無神経で無教養、許しがたいものだ。法律を軽視しており、理解に苦しむ」と強く批判した。

 ノームル遺跡は紀元前3世紀、およそ4万人が暮らしていたマヤ文明の中心地とされる。コロンブス以前の時代の遺跡のような建築的遺産群は、たとえ個人が所有するサトウキビ畑の中にあるものでも、国が保護している。(c)AFP