【5月10日 AFP】オーストラリアの首都キャンベラ(Canberra)建都100周年を記念して制作された巨大なアート作品が賛否両論を巻き起こしている──。作品については、創造性にあふれた作品だと評価する声が聞かれる一方で、グロテスクで税金の無駄遣いだといった手厳しい批判も多く寄せられている。

 問題になっているのは、国際的に名高いオーストラリアの芸術家パトリシア・ピッチニーニ(Patricia Piccinini)さんがキャンベラから依頼され、制作した熱気球の作品「スカイホエール(Skywhale、空のクジラ)」だ。ピンク色と黒色の巨体は、長さ34メートル、高さ23メートルにもなる。

 クジラと名付けられているものの、顔はカメやオウムのようで、また胴部分のフォルムは魚のようにも見える。そして両脇には乳房のような大きな奇妙な物体がいくつも垂れ下がっている。

 ピッチニーニさん本人は、スカイホエールの「正体」を明言することを拒み、「驚きと自然についての作品」とだけコメント。「(見る者に)これは何だ?と疑問を投げ掛けるはずです」と豪ABC放送に語っている。

 スカイホエールの大きさは、一般的な熱気球の2倍以上で、重さは500キログラム。材料には3.5キロメートル分の布を用い、制作には16人がかりで7か月を要したという。

 ところが、制作費に17万2000豪ドル(約1780万円)投じられたことが判明すると、ソーシャルメディア上では批判が噴出した。

 乗員3人、飛行高度3000フィート(約914メートル)のスカイホエールは11日、キャンベラ市内のオーストラリア国立美術館(National Gallery of Australia)前で公式に披露され、13日に首都上空を飛行する予定となっている。(c)AFP