【7月25日 AFP】世界一謎めいたほほ笑みで人びとを魅了する女性、「モナリザ(Mona Lisa)」。ルネサンス期の巨匠レオナルド・ダビンチ(Leonardo da Vinci)が描いたこの有名な肖像画のモデルとなった女性の人骨を発見したかもしれないと、イタリアの考古学チームが24日発表した。名画の謎解明に大きな前進となるのではと期待が高まっている。

 現在仏パリ(Paris)のルーブル美術館(Louvre Museum)に展示されている「モナリザ」は、1503~06年に制作された。モデルとしては、証拠はほとんどないものの、伊フィレンツェ(Florence)の貴族で裕福な絹商人フランチェスコ・デルジョコンド(Francesco del Giocondo)の妻だったリザ・ゲラルディーニ(Lisa Gherardini)が最有力候補との見方が、美術史家の間では一般的だ。夫のデルジョコンドが制作を依頼したと考えられている。

 ゲラルディーニについては前年、新たな文献から夫の死後、娘2人が修道女となっていたフィレンツェの聖ウルスラ女子修道院(Convent of Saint Ursula)で暮らした後、同地に埋葬されたことが判明。後世に作られたコンクリート床を掘り起こして発掘調査が行われていた。

 美術品をめぐる謎の解明を専門とするシルバノ・ビンチェティ(Silvano Vinceti)氏率いる調査チームは、これまでにも数体の遺体を発見しているが、今回見つかった人骨は非常に状態が良く、頭蓋骨も無傷で残っている点が特に重要だという。フランシスコ会の祭壇近くに埋葬されていて、埋葬時期もゲラルディーニものと一致するという。

 人骨は今後鑑定へ回されるが、ゲラルディーニのものと断定されれば頭蓋骨から生前の顔を復元し、モナリザの特徴と比較したいと調査チームは話している。

 ただ、これまで見つかった他の遺体と同じく無関係との鑑定結果が出る可能性もある。その場合、祭壇の反対側にあるより大きな墓に眠っているとみられる他の遺体の発掘作業が9月に開始される予定だ。(c)AFP/Ella Ide