【5月3日 AFP】ルーマニアの首都ブカレスト(Bucarest)の国立歴史博物館前にこのほど設置されたローマ皇帝の裸像が、人々の失笑を買っている。

 この銅像は、古代ローマ人とダキア人を祖先とする現在のルーマニア人の起源を表現したもので、ローマ皇帝トラヤヌス(Trajan、在位紀元98年~117年)がルーマニアで象徴的な動物とされるオオカミを腕に抱いているデザイン。彫刻家バシリー・ゴルデュス(Vasile Gorduz、1931~2008)氏が制作した。

 ところが、男性のシンボルもあらわに突っ立っているだけのような姿勢や、オオカミの首に巻かれたダキア人の旗を表すスカーフの奇妙な形が、道行く人々の失笑を誘い、インターネット上でも冷やかしの的となっている。

 ある40代女性はこんな感想を漏らした。「こんな奇怪なものは見たことがないわ。ブルドッグみたいな顔にトカゲみたいな尻尾を生やして、おまけに首が腫れあがったオオカミを、全裸の自分にうろたえているのが一目瞭然の男性が抱いている像なんて」

 博物館員のエルンスト・オーベルランデル・タルノバヌ(Ernest Oberlander Tarnoveanu)氏でさえ、こうした批判に同意を示している。同氏はAFPの取材に「わたしは上品ぶる気はないし、保守的でもないが、この銅像はここに建てるべきでなかった。芸術性に疑問符が付く作品だからだ」と述べ、遅かれ早かれ撤去すべきだと語った。

 ネット上にはブロガーたちの皮肉だらけの書き込みがあふれている。

「理解できないよ。人間は下着すらはいてないのに、あの野良犬はスカーフを巻いている。いったい暑いの、寒いの?」

「『百人隊長ビガス・ディカスと空中浮揚するイヌ』って題名にしたらいいのに」(「ビガス・ディカス」はラテン語風に言った「大きい男性器」の意。英コメディ・グループ、モンティ・パイソン(Monty Python)のエピソードから)

 ユーモアを集めたウェブサイト「タイムズ・ニュー・ローマン(Times New Roman)」が「ブカレスト市長がこのほど、ルーマニアの野良犬たちに捧げる初の記念碑を披露した」と伝えれば、読者の1人はコメント欄に「この像の原題は『納税後のルーマニアの男』だったんだよ」と書き込んだ。(c)AFP