【6月3日 AFP】ラジオ・カナダ(Radio Canada)は1日、第2次世界大戦中にカナダが創設した最高機密の軍事研究所が、連合国軍のために炭疽菌爆弾を開発していたという新事実に関するドキュメンタリー番組を放送した。

 1943年、セントローレンス水路(Saint Lawrence Seaway)の小島に作られた施設でカナダの研究者チームは、生物爆弾製造に使う目的で大量の炭疽菌を培養した。

「プロジェクトN(Project N)」と呼ばれたこの炭疽菌爆弾の開発は、原爆開発やドイツの暗号の解読とともに連合国軍の3大最高機密をなしていたと番組の制作者は主張している。

 この時期、連合国軍は生物兵器による対独作戦を準備しており、当時のウィンストン・チャーチル(Winston Churchill)英首相は50万発の炭疽菌爆弾の開発を目指していたとされる。

 いくつかの失敗を重ねたカナダの研究施設は1944年8月に閉鎖されたが、その時までに当時の全人類を30回以上殺りくできる700億人分の致死量に相当する炭疽菌を培養した。その後研究は米国に引き継がれた。

 大戦終結までに英国に実際に送られた爆弾はわずか5000個だったとみられる。当時プロジェクトに加わった科学者の1人はドキュメンタリーの中で、「残った分は溶剤と混ぜてしばらく放置された後、セントローレンス水路に廃棄された」と証言した。(c)AFP