【3月23日 AFP】イエス・キリストと12使徒の「最後の晩さん」を描いた名画は数多い。もし、現代に「最後の晩さん」が再現されたとしたら、食卓に並ぶのは、やはり質素な食事だろうか。それとも、世界の料理が並ぶ豪勢な食卓となるのだろうか。

 このような疑問を抱いた米国人兄弟が謎解きに挑み、その結果が英医学誌「International Journal of Obesity」に掲載された。

 この兄弟は、米コーネル大学(Cornell University)のブライアン・ウォンシンク(Brian Wansink)教授と、米バージニア・ウエスレイヤンカレッジ(Virginia Wesleyan College)のクレイグ・ウォンシンク(Craig Wansink)教授。

■メーンディッシュは7割増しに、農業生産の向上を反映

 2人は、西暦1000年から2000年の間に描かれた「最後の晩さん」の絵画から、著名な52作品を選び、食卓に描かれた食物をコンピューター・スキャン技術を用いて調べた。その結果、イエスと使徒の前に並べられた食事が1000年をかけて大幅に増量していったことが判明した。増量の割合は、メーンディッシュが69.2%、パンが23.1%で、皿の大きさも65.6%拡大していた。

 ウォンシンク兄弟は、「最後の晩さん」がこれほど豊かになった理由は1000年の間に農業生産が著しく向上したためとみている。「芸術は実際の暮らしを反映するものだ。歴史上、最も有名な晩さんを描いた絵画からも、暮らしの変化が読み取れるはずだ」

 メーンディッシュの内容は、魚(またはうなぎ)が18%、羊肉が14%、豚肉が7%となっているが、多くのメーンディッシュは判別不可能だという。

 新約聖書によると、最後の晩さんはユダヤ教の「過ぎ越し祭」の夜の出来事で、翌日、イエスは十字架にかけられ処刑された。(c)AFP