【2月14日 AFP】小説『ライ麦畑でつかまえて(The Catcher in the Rye)』で知られ、前月28日に91歳で死去した米作家J・D・サリンジャー(J.D. Salinger)氏が隠遁生活を送っていた時期の生活の一端を明かす未公開書簡の存在が12日、明らかになった。

 米紙ニューヨーク・タイムズ(New York Times)が書簡の存在を伝えていたが、ニューヨーク(New York)のモルガン・ライブラリー(Morgan Library and Museum)が書簡の存在を認めた。作家が死去したのを受け、現在、一般公開の準備をしているという。

 書簡は1951年から1993年に、『ライ麦畑~』の装丁を手がけた米イラストレーターのE. マイケル・ミッチェル(E. Michael Mitchell)氏に宛てたもの。

 同紙によれば、書簡は、サリンジャー氏が外界とのつながりをほとんど絶ち、ニューハンプシャー(New Hampshire)州の自宅で隠遁生活を送った日々の一端を明らかにするものだという。

 サリンジャー氏は書簡の中で、1965年に最後の作品を発表してからも執筆を止めていなかったことを明確に述べているという。

 書簡には、サリンジャー氏が1980年代まで規則正しい執筆生活を続けていた様子が書かれている。毎朝6時に執筆を始め、「絶対必要なことか、都合の良いときを除いて」割り込まれることを認めなかったという。そのため、サリンジャー氏の遺産の中に未公開作品の「宝の山」が埋もれているかもしれないと期待が高まっている。

 書簡は、20世紀の文学コレクションの一部として寄贈された。モルガン・ライブラリーは、サリンジャー氏の死後まで書簡について秘密にしていた。(c)AFP