【11月8日 AFP】小説『ロリータ(Lolita)』で知られるロシア人作家のウラジーミル・ナボコフ(Vladimir Nabokov)が死後に焼却してほしいと遺言していた未完の小説『The Original of Laura(ローラ)』が17日、死後32年経って出版される。

『ローラ』は、これまでスイスのモントルー(Montreux)にある銀行の金庫室に保管されていた。138枚のインデックスカードに遺されたこの未完小説の原稿は、17日に米国と英国で発売予定で、ナボコフの新たな才能の一端に触れる機会になるとの期待が高まっている。

 代表作となった『ロリータ』を燃やそうとしたナボコフから作品を守ったのは妻のベラ(Vera)夫人だった。今回の『ローラ』は、息子のドミトリー(Dmitry)さん(75)が、焼却せず発表することを決めた。

 とはいえ、著作権代理人のアンドリュー・ワイリー(Andrew Wylie)氏に原稿を持ち込むまで、ナボコフの遺族は30年にわたって考えあぐねていた。その後ワイリー氏は、米出版社ランダムハウス(Random House)傘下のクノッフ(Knopf)社と、英出版社ペンギン(Penguin)社と交渉したという。

 遺稿を破棄して欲しいとの願いは、ナボコフに限ったことではない。作家フランツ・カフカ(Franz Kafka)も、友人のマックス・ブロード(Max Brod)氏に未発表作品をすべて破棄してほしいとの遺言を託した。

 その中には未完の長編『審判(The Trial)』も含まれており、遺言に逆らって死後に発表された。

 ちなみに、『ローラ』の17日の発売日が待てない読者のために、10日発売の米成人向け娯楽雑誌プレイボーイ(Playboy)に小説の一部抜粋が掲載されるという。(c)AFP/Paola Messana