【10月19日 AFP】72年にわたりフランスの頂点に君臨し、ベルサイユ(Versailles)宮殿を欧州の権力の中枢にした太陽王として知られるルイ14世だが、その偉大さはおそらく軍隊よりも芸術家によるところが大きいのかもしれない。

 ルイ14世に着目した初の大規模な展覧会「Louis XIV, the Man and the King」が20日、ベルサイユ宮殿で開幕する。フランスで最も有名な王の強力なイメージを形作る支えとなった絵画、彫刻、家具、宝飾品など300点を展示。構想には2年を費やした。中にはフランス革命以後、初めて公開されるものもある。

「政治的には、ルイ14世は古臭い制度に属している。しかし、芸術と文化を通して、現在の我々とつながっている」ベルサイユ宮殿美術館の館長でこの展覧会の創案者でもあるジャン・ジャック・アヤゴン(Jean-Jacques Aillagon)氏はこう語る。

 1638年に生まれたルイ14世は4歳で王位に就き、1715年、76歳で死去するまで在位した。その間、3度の大規模な戦争を行い、2度結婚。フランスは欧州最強の国家へと成長した。

 20代の頃、父親の狩猟用の山荘だったベルサイユを王宮とし、パリ(Paris)から政府や軍司令部を移した。

 このとき、様式や表現に対するルイ14世の眼識が生きた。演劇ではモリエール(Moliere)、文学ではピエール・コルネイユ(Pierre Corneille)やジャン・ラシーヌ(Jean Racine)、絵画ではシャルル・ル・ブラン(Charles Le Brun)やピエール・ミニャール(Pierre Mignard)、音楽ではジャン・バティスト・リュリ(Jean-Baptiste Lully)、建築ではジュール・アルドゥアン・マンサール(Jules Hardouin-Mansart)やルイ・ル・ボー(Louis Le Vau)、庭園ではアンドレ・ル・ノートル(Andre Le Notre)らを取り立てた。

「ルイ14世は常に新しいものを愛した。作り上げたばかりのものを壊し、最新の流行に合わせて作り直した。宝石で飾り立てた目立つ黒のベルベットの衣服を着た。世界で最も偉大な王として人前に出ることを尻込みする人物ではなかった」エヤゴン館長はこのように語った。

 エリザベス女王(Queen Elizabeth II)から貸し出された建設中のベルサイユ宮殿の絵画や、現在は英国のノーサンバーランド公(Duke of Northumberland)が所有し約200年ぶりにフランスに戻ってきた大きな黒の飾り戸棚などを見ることのできるこの展覧会は、2010年2月7日まで開催される。(c)AFP/Carole Landry

【参考】ベルサイユ宮殿のサイト(英語・仏語)