【10月3日 AFP】4月にナミビア沖で発見された16世紀のポルトガルの難破船が、10日までに引き揚げられることになった。ポルトガル文化省が1日明らかにした。

 難破船は4月に、ナミビア南部のオラニエムント(Oranjemund)沖で、ダイヤモンド掘削作業中に偶然発見された。船からは2300枚以上、重量にして21キロ分の金貨のほか、青銅製の大砲6門、銀、銅のインゴット13トン、スズ8トン、計600キロ50本以上の象牙、さまざまな武器などが発見された。

 このように大量の金貨が発見されたことについて、リスボンのある海洋考古学者は「エジプトをのぞくアフリカにおける、史上最大の発見」だと興奮する。金貨のうち約70%はスペイン製、残りはポルトガル製で、一部の金貨には「1525年10月」にポルトガルで鋳造されたことを示す刻印があるという。

 ナミビアのスケルトンコースト(Skeleton Coast)沖は、海の難所として知られ、過去数世紀の間に数百隻の船が難破している。今回発見された難破船は当初、1488年に南アフリカの喜望峰を発見し、1500年前後に航海中、行方不明となったポルトガルの探検家、バルトロメウ・ディアス(Bartolomeo Diaz)のものではないかとの説もあった。しかし、ディアスの死から25年後に流通していたコインが発見されていることから、その可能性は薄い。

■金貨はナミビアで保管 

 ナミビア文化省は前週、引き揚げ作業には1日につき10万ナミビアドル(約130万円)という大金を要すると発表。コスト制限のため、同省は当初引き揚げ期限を2日に設定していたが、悪天候が続いたことから10日に再設定された。船は現在、ダイヤモンド掘削業者が築いた砂の壁で守られているが、この壁の補強は10日以降は行われないという。

 作業には、ポルトガル、米国、ジンバブエの考古学者チームが参加する。引き揚げ後には、さらに多くの宝物の発見が期待されている。

 国際海事法は、難破船とその貨物は、発見された国に属すると規定している。発見された金貨は現在、ナミビアの首都ウィントフーク(Windhoek)のナミビア銀行(Bank of Namibia)に保管されている。ナミビアは、これらの宝物を展示するための博物館をオラニエムントに建設したい意向だ。(c)AFP