【7月21日 AFP】スペイン・マドリード(Madrid)の国立ソフィア王妃芸術センター(Museo Nacional Centro de Arte Reina Sofia)による調査の結果、同センター所蔵のパブロ・ピカソ(Pablo Picasso)の傑作「ゲルニカ(Guernica)」が多くの損傷を受け特別な配慮が必要な状態であることが分かった。スペインの日刊紙パイス(El Pais)が20日、報じた。

 ソフィア王妃芸術センターの学芸員らは10年にわたり「ゲルニカ」の細部にわたる調査を行い、このほど第一回目の調査結果を発表した。さらなる損傷を生む可能性があるため、修復は行わないという。

 同作品は1937年のスペイン内戦中に、バスク(Basque)地方の町ゲルニカがナチス・ドイツから空爆を受けた様子を描いたもの。苦しむ人間や動物を描き、空爆の恐怖を表現している。

 世界各国で展示されたあと、同作品は米ニューヨーク近代美術館(The Museum of Modern ArtMoMA)で長期にわたり展示され、最初の修復が行われた。その後マドリードのプラド美術館(Prado Museum)で展示されたあと、1992年に現在のソフィア王妃芸術センターに移された。

 スペイン政府はこれまで、同作品の脆弱性を理由に、ゲルニカやビルバオ(Bilbao)にあるグッゲンハイム美術館(Guggenheim Museum)への移送を拒んでいた。(c)AFP