【7月8日 AFP】(一部更新)カナダのケベック(Quebec)で開かれている国連教育科学文化機関(ユネスコ、United Nations Educational, Scientific and Cultural OrganizationUNESCO)の世界遺産委員会で7日、カンボジアのタイ国境にあるプレアビヒア寺院(Preah Vihear Temple)」を世界遺産リストに登録することが決定した。

 今回の委員会では45か所の世界遺産登録について討議されたが、中でも遺産登録をめぐり大きな議論が巻き起こっていたのが、このプレアビヒア寺院だ。

 カンボジアとタイは11世紀ごろ山岳頂上に建設された寺院一帯の領有権を長年争っていたが、1962年に国際司法裁判所がカンボジア領との判断を下した。しかし、寺院の入口に入るにはタイ側の山のふもとから上るしかないなど問題があったことから、カンボジアの世界遺産登録の単独申請にタイ政府は同意していなかった。

 この問題は6月にタイ政府がカンボジア政府による登録申請に合意したことで解決したかにみえたが、タイ国内の政治団体や市民団体がこの合意に激しく反発。タイの裁判所が政府の決定を差し止める事態に至っていた。

 今回、2日から10日まで開催予定の世界遺産委員会では、プレアビヒア寺院のほか、マレーシアのマラッカ海峡(Straits of Malacca)の街メラカ(Melaka)とジョージタウン(George Town)、パプアニューギニア初のリスト入りとなるKuk Early Agricultural Siteの文化的景観の遺産リスト登録も決定されている。(c)AFP