【5月27日 AFP】70年前イタリア軍に持ち去られ、3年前に里帰りを果たしたエチオピア北部アクスム(Axum)のオベリスク(花崗岩の石柱)の復元作業が、6月に元あった場所で開始されることになった。国連教育科学文化機関(UNESCO、ユネスコ)が22日明らかにした。

 フランチェスコ・バンダリン(Francesco Bandarin)ユネスコ世界遺産センター所長は記者会見で、復元作業はエチオピア・イタリア間の平和条約に基づいて行われると語った。

 オベリスクは3世紀のもので、高さ24メートル、重さ150トン。現在世界遺産に指定されている「アクスムの考古遺跡」にあったものだが、1937年、エチオピアの植民地化を企図していたイタリアの時の独裁者、ベニト・ムソリーニ(Benito Mussolini)の命で兵士により持ち去られた。

 返還は1947年に合意されたが、オベリスクはその後も国連食糧農業機関(UN Food and Agriculture OrganizationFAO)ローマ(Rome)事務所の前に立ち続けた。返還されたのは2005年になってからのことで、「3つの部分に分けて」エチオピアに輸送された。

 アクスムは、紀元前5世紀から10世紀まで、交易の中心地として栄えたアクスム王国の首都。同王国は、最盛期には今日のエチオピア、エリトリア、スーダン、ソマリア、イエメンにまで勢力を拡大した。同遺跡にはかつて100本以上のオベリスクが立っていたとされる。

 数百万ドルが投入された復元計画は、6月4日に開始され、9月10日には一般公開される予定。(c)AFP