【5月15日 AFP】米ミシガン(Michigan)州デトロイト(Detroit)で13日夜、本田技研工業(Honda Motor)の2足歩行ロボット「アシモ(ASIMO)」が、デトロイト交響楽団(Detroit Symphony Orchestra)を指揮した。ロボットがオーケストラを指揮するのは世界で初めて。ミュージカル「ラ・マンチャの男」の楽曲「見果てぬ夢(The Impossible Dream)」を振り、観客と演奏者から万雷の拍手を送られた。

 アシモの指揮者デビューは、世界的なチェロ奏者のヨーヨー・マ(Yo-Yo Ma)氏を招いて行ったコンサートの冒頭で行われた。チケットは完売だった。

 同交響楽団で22年間バス・トロンボーン奏者を務めるRandall Hawesさんは「わくわくした。信じられない技術だ。歩いて登場した時の滑らかな動きには感動したよ」と語った。

 一方で、アシモがすぐに人間の指揮者に取って代わることはないだろう、とも指摘。「わたしたち演奏者がアシモ(の指揮)に反応するのであって、アシモはこちら(演奏者)に反応してくれない。その部分だけが欠けている。わたしたちは曲が終わるタイミングを知っていたから演奏を止めたんだ」と話した。

 デトロイト交響楽団は今年始め、ホンダが100万ドル(約1億円)を拠出してデトロイト市の子ども向け音楽教育支援プログラム「The Power of Dreams音楽教育基金」を設立したことから、アシモをコンサートに招待した。

 ホンダはアシモ25体を「大使」として世界各国に送っている。ホンダ米法人のジェフリー・スミス(Jeffrey Smith)シニアマネジャーは、アシモが市販される日も「それほど遠くはない」と述べている。(c)AFP