【4月1日 AFP】パリ(Paris)のカルティエ財団現代美術館(Fondation Cartier)で3月28日から6月22日まで、ミュージシャン/詩人パティ・スミス(Patti Smith)の個展「Patti Smith, Land 250」が開かれている。

■心の世界をアートで表現

 写真やドローイング、フィルムなどのアート作品は、“パンク界のゴッドマザー”と称されるスミスの新たな一面を見せてくれる。「1967年からドローイングやペインティング、写真、詩の執筆をはじめた」とスミス。

 「私はロックという表現を通じて、人権や反戦についての意見を述べています。しかし、アートの分野では、政治的なものでなく、より自分の心の世界を表現しているのです」

 「自分の世界が持つ多様性をお見せすることは、私と人々の対話の始まりだといえます」

■救いとなったポラロイド

 タイトルの「Land 250」は、スミスが夫と兄弟を亡くした1995年から使用しているビンテージのポラロイドカメラの名前に由来している。「その時私は疲れ切っていて、とても自分を表現できるような状態ではなかった。そこで、シンプルで手っ取り早いポラロイドを手にしたのです。(ポラロイドは)困難な時期に、自信を取り戻す助けとなってくれました」
 
 小さなポラロイドには、墓石や彫刻、曇り空、風の強い日の通りが写し出されている。他にも、ヴァージニア・ウルフ(Virginia Woolf)のベッドや、ヘルマン・ヘッセ(Herman Hesse)のタイプライター、アルチュール・ランボオ(Arthur Rimbaud)のカトラリー、スミスの友人であり写真家の故ロバート・メイプルソープ(Robert Mapplethorpe)のスリッパなどがある。

■仕事をするには「健康」

 作品に登場する墓地について「とても美しい場所。悲しいなんて思わない。(墓地は)休憩場所であり、生について思いを巡らすための合流点と言える」とスミス。

 しかし、他のミュージシャンや芸術家のように死に魅了されることはなかった。「若いときに、生きると決めた。(若くして亡くなった)ジム・モリソンたちには生き方でなく作品に惹かれている。仕事をするには、健康でなくてはいけない」

 会期中には息子や娘とのセッションや、詩の朗読なども予定されている。6月22日まで。(c)AFP