【1月9日 AFP】アラブ首長国連邦の首都アブダビ(Abu Dhabi)に開館予定のルーブル(Louvre)美術館別館建設計画に関する契約の調印式が7日、フランス・UAE両国間で行われた。

 契約期間は30年間で、アブダビはルーブル美術館の名称使用料および、展示品の半年から2年の賃貸料として4億ユーロ(約640億円)を支払う。

 ポンピドー・センター(Pompidou Centre)、オルセー美術館(Musee d'Orsay)、フランス国立図書館(French National Library)の代表者からなる機関「France-Museums」が、同計画の進行を管理し、計画反対派に対応している。

 ルーブル美術館別館は2012年にオープンの予定。設計は仏建築家のジャン・ヌーベル(Jean Nouvel)氏が手掛け、建物の総面積は2万4000平方メートル。France-Museumsは所蔵品の貸し出しに加え、職員の研修も行う。

 別館が建設されるアブダビ沖のサディヤット(Saadiyat)島には、このほか4つの美術館、高級ホテル、ゴルフコース、マリーナや別荘などが2018年に完成する予定。今回の建設計画に続き、フランスはUAEと音楽や考古学の分野に関する別の共同プロジェクトも計画しているという。

 調印式に出席した高官らの1人、アブダビ首長国のSheikh Sultan Bin Tahnoun al-Nahayan観光大臣は、文化および観光面で重大な意味を持つこの計画を「歴史的一歩」だと語った。「ルーブル美術館はサディヤット島の文化プロジェクトの土台となるものだ。ルーブル美術館がなければ、このような膨大な計画は考えられなかっただろう」

 フランス国内の計画反対派からは、ルーブル美術館の貴重なコレクションを海外へ貸し出すのは「ルーブルの魂を売ることだ」という非難の声があがっている。また、別館の建設によって毎年ルーブルを訪れる約700万人の観光客がアブ・ダビに奪われると心配する向きもある。こうした中、計画に反対する美術関係者など約5000人が計画中止の嘆願書を提出したが、フランス国民議会は10月9日、同計画を承認した。(c)AFP