【12月19日 AFP】(12月19日 一部更新)民主主義の歴史上最も重要な法律文書の1つ、マグナカルタ(大憲章、Magna Carta)の写本が18日、米ニューヨーク(New York)の競売大手サザビーズ(Sotheby's)でオークションに掛けられ、2130万ドル(約24億円)で落札された。

 今回落札された写本は世界に現存する17部の写本のうちの1部で、残りの大半は英国の政府、大聖堂、大学立公文書館などが所蔵しており、英国外ではオーストラリアにあるのみ。

 この写本は1297年に作成されたもので、当時のイングランド王、エドワード1世(King Edward I)の認証印が押されている。落札予想価格は2000万-3000万ドル(約23億-34億円)だったが、その下限に近い値で電話による入札により落札された。

■民主主義の原点となる法律文書

 マグナカルタは1215年に初めて制定され、1297年にイングランドの憲章として承認された。

 今回競売人を務めたサザビーズのDavid Redden氏は、競売前にAFPに対し、マグナカルタの写本を「世界で最も重要な文書」「自由へのはしごの第一段」「自由のお守り」などと表現。「マグナカルタは独立宣言や憲法、権利章典など自由を示す文書の大本となったもの。写本が競売に出品されるのは本当に驚くべきことだ。初めてのことだし、今後もないだろう」と今回のオークションの重要性を強調した。

 また、「われわれの文明化を鼓舞する重要な文書の1つなので、人の目に触れなければ役目を果たさない」として、誰が落札するにせよ一般の目に触れるようにしてほしいとの希望を述べた。写本は過去23年間はほとんど米ワシントンD.C.の米国国立公文書館(US National Archives)に展示されていた。

■競売収益はチャリティーに
 
 この写本は英ノーサンプトンシャー州(Northamptonshire)のブルーデネル(Brudenells)家が14世紀終わりか15世紀初めから所有。その後、ペロー氏の財団が1984年に購入した。

 競売の収益は、米国の大富豪で元大統領候補のロス・ペロー(Ross Perot)氏がが設立した慈善団体に寄付される。
(c)AFP