【12月14日 AFP】ドイツ北部のハンブルク民族学博物館(Hamburg Museum of Ethnology)が偽物の兵馬俑を展示していた問題で、始皇帝兵馬俑博物館(Terracotta Warriors Museum)がある中国北西部、陝西(Shaanxi)省の文化遺産保護当局は14日、同博物館に対し法的措置を取る可能性があると発表した。

 陝西省当局は同博物館に対し、展示品として兵馬俑の提供はいっさい行っていないという。

 AFPの取材に応じた当局関係者は「極めて悪質な詐欺だ。わが国の権利と名声を著しく傷つける行為で、断固として抗議したい。わが国の権利はもちろん、ドイツ国民の権利も侵害されたわけであり、当方には法的措置を取る権利があると考えている」と語った。

 ハンブルク民族学博物館では、ライプチヒ(Leipzig)にある中国芸術文化センター(Centre of Chinese Art and CultureCCAC)と共催の展覧会で、11月15日から「兵馬俑8体」を展示していた。前週、偽物の可能性を指摘されたことにより展覧会を中止。その後、警察当局の捜査ならびに中国政府による調査で、いずれも偽物であることが確認された。

 CCACの広報担当者は独テレビ局NDRのインタビューで、「(展示した)兵馬俑は本物ではない。しかしわれわれは当初から本物は調達できないと伝えていた」と語り、最初から「複製品」を送ることを意図していたと話した。さらに、中国の文化遺産保護当局がハンブルク民族学博物館に事情を説明しようと試みたが、連絡がつかなかったとも語っている。

 一方、ハンブルク民族学博物館は「契約では本物を提供する約束だった」との声明を出し、CCACの詐欺行為を主張している。

 始皇帝の陵墓で兵馬俑が発見されたのは1974年で、20世紀で考古学的に最も重要な発掘のひとつと考えられている。

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