【12月8日 AFP】約150年前に英仏軍によって焼き討ちにされた中国・北京(Beijing)の清朝の離宮跡、円明園(YuanmingyuanOld Summer Palace)の復元工事が、2008年に着工されることになった。国営新華社通信(Xinhua)が5日報じた。

 円明園の復元計画はかねてから国内で物議を醸していた。東部浙江(Zhejiang)省に復元される400ヘクタールの広さを誇る離宮には、総工費200億元(約3000億円)が投じられる。

 円明園は1860年に英仏軍により最初の焼き討ちにあった後、1900年にも英仏米独露日伊、オーストリア・ハンガリーの連合軍によって再び破壊された。

 円明園の破壊は、中国の長い歴史において最も屈辱的な記憶の1つとみなされており、愛国心教育の題材として利用されてきた。

 いまのところ、総工費のうち調達できているのは16億元(約240億円)だけだが、5年後の完成を目指し、文化・映画関連の団体などが国内で寄付を募る活動に名乗りをあげている。

 新華社の報道によれば、そうした巨額の工費は北京に現在も残る離宮跡の保存に投じるべきだとして、復元計画に非難の声が高まっているという。

 上海(Shanghai)にある同済大学(Tongji University)の文化遺産専門家Ruan Yisan氏は、「円明園は150年かけてつくられたもの。5年や10年で復元できるものではないし、復元など必要ない。円明園は連合軍に破壊され、残された廃虚跡は当時の屈辱的な歴史のあかしとして今も残されているのだから」と語っている。(c)AFP