【11月8日 AFP】米ニューヨーク(New York)で7日に行われた競売会社サザビーズ(Sotheby's)のオークションで、フランス後期印象派の画家ポール・ゴーギャン(Paul Gauguin)の『テ・ポイポイ、朝(Te PoipoiThe Morning)』が3920万ドル(約44億円)で落札された。

 マンゴーの木の下で日光浴をするタヒチの女性を描いた同作品の予想落札額は4000-6000万ドル(約45-67億5000万円)で、ゴーギャンの作品では2006年に4030万ドル(約45億4000万円)で落札された『Man with an Axe』の最高記録を破るのではと期待されていた。

 オークション前のインタビューで、サザビーズのデービッド・ノーマン(David Norman)氏は、同作品を「コンディションも最高の極上品」と評した。「19世紀から20世紀の名品に関心のあるコレクターなら、今回の記念すべきゴーギャン作品の出品を無視できないはず。入手の機会はめったにない。10年から15年も待ち続けているコレクターもいるほどだ」と語っていた。

 このほかにも、サザビーズが、市場に出るパブロ・ピカソ(Pablo Picasso)の彫刻の中で、この20年で最も貴重な作品と説明していた『Tete de femmeDora Maar)』が、2910万ドル(約32億7000万円)で落札され、ピカソの彫刻作品としては最高落札額となった。

 しかし、ビンセント・ファン・ゴッホ(Vincent Van Gogh)が自殺するわずか2週間前に描き上げ、ゴッホ最後の完成作品と考えられている『The Fields』には、買い手がつかなかった。くすんだ水色の空と黄金色の麦畑を描いたこの作品の最低入札価格は3500万ドル(約39億4000万円)だったが、2500万ドル(約28億1000万円)以上の値がつかなかったのだ。

 このほか、25-3500万ドル(約28億1000-39億4000円)の値がつくとみられていた『La Lampe』や『Femme assiseFemme au Chale)』『La Bonne de Derain』などのピカソの4作品も、落札には至らなかった。

 フランツ・マルク(Franz Marc)やリオネル・ファイニンガー(Lyonel Feininger)などの注目作品は、予想落札価格とほぼ同額で競り落とされた。

 ニューヨークで始まった一連の秋季美術品オークションは、米国のサブプライム(低所得者向けの高金利)住宅ローン問題の影響を見極める好機会としても注目を集めている。

 6日には、クリスティーズ(Christie's)のオークションでアンリ・マチス(Henri Matisse)の『L'Odalisque, harmonie bleu』が3360万ドル(約37億8000万円)で落札されている。

 オークションは次週まで続き、マーク・ロスコ(Mark Rothko)、アンディ・ウォーホル(Andy Warhol)、フランシス・ベーコン(Francis Bacon)、ジェフ・クーンズ(Jeff Koons)などの作品が出品を待っている。(c)AFP