【11月7日 AFP】世界遺産に登録されている世界最大の中国の仏像が、長年にわたる風化や酸性雨によって劣化し、2008年に修復工事が行われる。

 中国南西部四川(Sichuan)省にある、高さ71メートルの石仏「楽山大仏(Leshan Giant Buddha)」は、峨眉山(Mount Emei)と併せ、文化遺産と自然遺産の複合遺産としてユネスコ(UNESCO)の世界遺産に登録されている。
 
 国営新華社(Xinhua)通信によると、楽山仏像は現在、鼻が黒ずみ、顔や体はコケに覆われて水筋が黒く残るなど激しく損傷している。楽山の文化財管理当局者によると、酸性雨や風化、多湿が原因だという。2008年の修復工事のため、現在、専門家チームが準備を進めている。

 楽山大仏は大渡河(Dadu River)と岷江(Min River)の合流地点に面した崖に、川を見下ろすように彫られている。唐代の713年に着工、90年の歳月をかけて完成された。2001年、イスラム原理主義勢力タリバン(Taliban)によって破壊されたアフガニスタンのバーミヤン(Bamiyan)石仏2体のうち、高かったほうの像よりもさらに16メートル高い。

 楽山大仏の補修は、2001年に表面の清掃、セメントによる補強、ひび割れの修復、排水管の取り付けなど、2億5000万元(約38億円)規模の工事が行われるなどここ数年で数回に渡り実施されている。

 環境汚染による被害を減らすため、当局は2003年以降、遺跡周辺から住民数千人を移住させ、石炭火力発電所20か所のほか、小規模な工場などを移転させた。

 前述の関係者によると、風化のみならず、観光客が遺跡に与える損傷もまた、保存活動のペースを上回っており、補修工事は5年に1度行う必要があるという。(c)AFP