【11月6日 AFP】フランスで最も権威ある文学賞、ゴンクール賞(Prix Goncourt)は5日、ジル・ルロワ(Gilles Leroy、48)氏の「アラバマ・ソング(Alabama Song)」が受賞した。

 受賞作は、作家F.スコット・フィッツジェラルド(F. Scott Fitzgerald)の夫人ゼルダ(Zelda)の生涯を描いた伝記小説で、1920年代のにぎやかなパーティーの様子、ゼルダ夫人の夫との激しい関係や長年にわたる夫人の精神病との戦いをたどっている。

 同賞はその年の最も優れた小説に与えられ、受賞作は最終選考に残った5作品から選ばれた。

 ルロワ氏は受賞について、「この賞は彼女のものでもある」とゼルダ夫人に敬意を表し、夫人は犠牲者であり、その才能が理解されることはなかったと語った。ゼルダ夫人は総合失調症と診断され、入所していた米国の施設で火事に遭い、47歳で死亡している。

「極限まで欲望を追い求める人が大好きだ。この熱望する強さ、自由になりたいという欲望が他人と違うところだ」とルロワ氏は話した。

 ルロワ氏はジャーナリスト活動を経て、1987年に「Habibi」を出版して以来、短編を含む多くの作品を世に送り出している。

 ゴンクール賞の選考委員6人のうち4人はルロワ氏に票を投じたが、残りの2人はOlivier Adam(33)氏の「A l'abri de rien」を支持した。同著は、フランスの移民収容施設で英国への渡航を待つ女性を描いている。

 同賞は2006年、ナチス親衛隊の元隊員の記憶をつづったジョナサン・リテル(Jonathan Littell)のフランス語小説「ビヤンベイヤント(Les Bienveillantes)」が受賞し、同賞史上初めて米国人作家の受賞となった。

 ルノドー賞(Prix Renaudot)はダニエル・ペナック(Daniel Pennac、62)の、学校で自称のろまだった過去を告白した自伝「Chagrin d'ecole」が受賞した。(c)AFP