【10月30日 AFP】年金改革に対するストライキを続行中のパリ国立劇場オペラ座(Opera National de Paris)で、29日に新たに2つの舞台がキャンセルされた。26日以降ストライキのため上演中止となった舞台は、これで計6回となった。

 ストライキは31日まで続く可能性もあるとみられ、これ以上ストライキが続く場合、その損失は220万ユーロ(約3億6400万円)にのぼる恐れもある。

 29日にキャンセルされたのは、旧オペラ座のガルニエ宮(Palais Garnier)で行われる予定だった振付師Briton Wayne McGregorによるバレエ公演「Genus」と、Angelin Preljocajによる「Medea's Dream」、さらにバスチーユ劇場(Opera Bastille)で行われる予定だったオペラ公演の「トスカ(Tosca)」。28日のMcGregorによる「Genus」のワールドプレミアのみは予定通り開催された。

 ストライキの原因となっているのは、ニコラ・サルコジ(Nicolas Sarkozy)大統領が提唱している公務員の年金優遇の廃止だ。

 パリ国立オペラの1680人の常勤職員に適用されている年金制度は、ルイ14世が1698年に同オペラの前身であるRoyal Academy of Musicのために設けたフランスでも最も古い年金制度のひとつ。これによれば、154人のダンサーは、10年間の納入期間を満たせば、最も若くて40歳で引退でき、長くても42歳までには引退しなければならない。合唱団の102人には、50歳の定年が設定されている。

 この年金制度は、オペラの仕事に携わる人たちの体力的な負担を考慮して設置されたものだが、同時にアーティストたちの回転率を高めていた。

 現在、この年金制度の加入者からの納入金が不足していることから、これを補うため国家が毎年1000万ユーロ(約16億5000万円)を支出している。

 また、フランスの特別年金制度により不足する資金を国が補填する金額は、年間50億ユーロ(約8300億円)にのぼるという。(c)AFP