【7月20日 AFP】一部米メディアが19日に発売前の『ハリー・ポッター(Harry Potter)』シリーズ完結編の書評を掲載し物語の内容を明かしたことに対して、欧米で同日、激しい非難が巻き起こった。

 完結編となる最新作『Harry Potter and the Deathly Hallows(ハリー・ポッターと死の秘宝<仮題>)』は20日のGMT23時1分に世界各国で同時発売となるが、物語の結末が漏れるのを防ぐため、厳重な監視体制のもと発売準備が進められていた。

 ところが今週初めには、同書を写真撮影したと思われる映像がネット上に流出。この事件がきっかけで作者は18日にコメントを発表し、流布している物語のあらすじに関する「間違った情報」を無視するようにと、ファンに呼びかけていた。

 こうした中、ニューヨーク・タイムズ(New York Times)などの米紙数社が19日、同書の発売前に書評を公表。相次ぐ内容の暴露に対し、作者のJ・K・ローリング(J.K. Rowling)は同日、2度目のコメントを発表した。

「米紙数社が書評という形で内容を暴露したことに対し、私は非常に驚いています。数多くの読者、特に子どもたちは、自分が読みたい時に自分自身で最終巻を読み、ハリーの運命を知りたいという願っていたはずです。その願いを、彼らは完全に無視ししたのです」
 
 ニューヨーク・タイムズ紙の書評は、どの登場人物が死ぬのかについては明らかにしていないが、「驚くべき早さで人々が死んでいく。結末では登場人物のうち6人が死ぬ」と述べている。また「心がはやり、骨まで凍り付くような対決」だと表現している物語の結末部分には、「登場人物たちの運命を明確に描写したエピローグ」が含まれているとう。ファンの間では「完結編でハリーが死ぬかもしれない」といった憶測が飛び交っている。
 
 こうした騒動が最新作の発売に影を落としてはいるものの、世界中のファンが発売を心待ちにしている。ロンドンのピカデリー通りにある書店ウォーターストーンズ(Waterstone’s)の前では、同書の初版を手に入れて「ハリー・ポッター・パーティー」に出席しようという100人ほどのファンが列を作って並んでいる。

 ローリングは20日、ロンドンの自然史博物館でサイン会を開くほか、夜通しでの朗読会を行う予定。さらに英国では数百の書店で、ファンが集うパーティーが開催される。

 同氏は「ハリー・ポッター・シリーズの続編を執筆することは、おそらくないだろう。今は新シリーズの準備に取りかかっている」と話しているが、続編執筆の可能性を完全には否定していない。(c)AFP/Katherine Haddon