【6月7日 AFP】6日、ロンドンのロイヤルフェスティバルホールで、英国の文学賞「オレンジ賞(Orange Broadband Prize for Fiction)」の発表があり、ナイジェリア人作家Chimamanda Ngozi Adichie氏(29)の『Half of a Yellow Sun』が受賞したことが発表された。

 同賞は今年1年に出版された女性作家による英語の作品を対象にした文学賞で、賞金は3万ポンド。

 Adichie氏の2作目となる同作は、1960年代のビアフラ戦争を舞台に、アフリカの民族意識と忠誠心、道義的責任、階級と民族、そしていかに愛がそういった問題を複雑化するかを描いた作品だ。

 Adichie氏は受賞に際し「心の底からうれしいとしか言えない。これからナイジェリアに電話しなければ」と語った。

 審査委員長のムリエル・グレイ(Muriel Gray)氏はこの作品を評して「非常にワクワクさせられる作家による感動的かつ刺激的な作品。巧みな主題の扱いや明せきな読みやすさにも驚かされた」と述べた。

 ほかの候補者と候補作品には、インド人作家のキラン・デサイ氏の2作目『The Inheritance of Loss』。ベストセラー作家アニタ・デサイ(Anita Desai)氏の娘で、同作で2006年度ブッカー賞(The Man Booker Prize for Fiction)を受賞している。

 意図的につたない英語で書かれた中国人作家、郭小櫓(Guo Xiaolu)氏の「A Concise Chinese-English Dictionary for Lovers(簡明中英情人字典)」は、お互いの母語で会話できないカップルを描いた。

 英国郊外の雨の1日を舞台にした英国のレイチェル・カスク(Rachel Cusk)氏の『Arlington Park』。

 もう1人の英国人作家、ジェーン・ハリス(Jane Harris)氏は初の小説『The Observations』で候補となった。1863年のエディンバラを舞台に、メイドと謎に満ちたその女主人を中心に据えた物語だ。

「ブリージング・レッスン(Breathing Lessons)」でピュリツァー賞(Pulitzer Prize)を受賞した米国人作家アン・タイラー(Anne Tyler)氏は、ボルティモアの家族にやって来た2人の韓国人の赤ちゃんについての作品「Digging to America」が候補に上がった。

 昨年は英国人作家ゼイディー・スミス(Zadie Smith)氏の『On Beauty』が受賞している。また、ミャンマーの政治囚を描いたカナダ人作家Karen Connellyのデビュー作『The Lizard Cage』が、オレンジ賞新人賞(Orange Broadband Award for New Writers)を受賞した。(c)AFP