【ロンドン 9日 AFP】国会議事堂の外で行われたイラク戦争反対を訴えたデモに使われた約600個の旗やプラカードなどをアートとして甦らせた作品が8日、国内の現代美術賞、ターナー賞(Turner Prize)の最終選考に残ったことが明らかになった。

 同賞の最終選考に残ったのは、マーク・ウォリンガー(Mark Wallinger)の作品『State Britain』。仮設キャンプ生活をしながら反戦運動を行ってきた平和活動家、ブライアン・ホウ氏(Brian Haw)の筆跡をアート作品として甦らせた。ターナー賞の過去の受賞者にはダミアン・ハースト(Damien Hirst)らも含まれている。

 ウォリンガーの作品は現在、美術館テート・ブリテン(Tate Britain)のギャラリーに展示されている。

 最終候補者リストが発表されダーナー賞選考委員の1人である美術評論家のMichael Bracewell氏は、この作品は「反対運動の寂しさ」と表していると話す。

 ホウ氏は最初イラクに対する経済制裁に反対の立場を示していたが、後に米国などが2003年に行ったイラク侵攻に焦点を充てるようになっていった。

 政府は国会議事堂の前における抗議行動を禁止する法案を2005年に可決したが、度重なる法廷闘争にも関わらずホウ氏は現在も居座り続けている。

 12月に選考が行われる同賞の他の候補者には、ウガンダの写真を撮ったZarina Bhimji氏、また宗教的な建物をボール紙で制作したNathan Coley氏らの名前が挙がっている。

 ホルムアルデヒドの中でサメを保存したことで有名なダミアン・ハーストの他に、この賞の過去の受賞者には陶芸家のグレイソン・ペリー(Grayson Perry)もいる。

 写真は、テート・ブリテンに飾られたマーク・ウォリンガーの作品(2007年1月15日撮影)。(c)AFP/ADRIAN DENNIS