
【バンコク/タイ 31日 AFP】バンコク(Bangkok)のお洒落なショッピングセンターを訪れたBuranee Clausenさんが、デザイナーブランドのバッグや洋服には目もくれずに向かった場所。それは現在タイで最も人気の高い輸入物、「ハロウィーン」の特設コーナーだ。
ハロウィーンは元来、ヨーロッパのキリスト教徒の祭で、欧米の国々では夜間に仮装してパーティーやパレードを楽しんだり、子どもたちが家々を回ってお菓子をもらう。タイでもかつては駐在員の祭だったハロウィーンだが、タイの高所得層を中心に浸透し始めた。
■小売店の売上は期間中に20%増
祭と名がつけば何でも祝ってしまう祭好きのバンコクで、ハロウィーンの人気も急上昇している。かつては、インターナショナル・スクールでの子ども向け行事に過ぎなかったハロウィーンだが、今ではバンコクの夜を楽しむ一大イベントとなっている。そして、商店にとっては絶好の稼ぎ時だ。
「タイ人はチャンスがあれば何でもお祭りにしてしまうのよ」とBuraneeさんはいう。保育園でのパーティーに出る2歳半の娘のためにカボチャのコスチュームを買ったばかりだ。
ハロウィーンの期間、バンコクの大型デパートでは、買い物客、売上ともに20%も伸びるという。2大デパート、EmporiumとSiam Paragonのマーケティング担当部長、Natasanon Vongkittipat氏は10月26日から11月5日のハロウィーンキャンペーン期間中、15%から20%の売上増を見込んでいる。
「ハロウィーンは若者や駐在員たちにとって最大のイベント」と言い、売上総額予想も5億5000万バーツ(約17億6000万円)と強気だ。
「タイ人は他人のお祭りでも楽しむのが好きな民族だ」と「Very Thai: Everyday Popular Culture」の著者、フィリップ・コーウェルスミス(Philip Corwel-Smith)氏は語る。
またコーウェルスミス氏は、「他国に比べタイは異国の祭に対して寛容だ」と指摘する。しかし、商店やバーにとって絶好の商業機会であることから、最近のハロウィーンが服や酒を売りまくる機会に過ぎなくなってきていると懸念する。
パタヤ(Pattaya)から来たというNgam Olesenさんも「ここ数年、ハロウィーンは盛大になってきている」という。Ngamさんは娘のために魔女のコスチュームとほうきを買った。
「タイの子どもたちは成長とともにアメリカ文化を吸収していく」
■しょせんは「大騒ぎの口実」
一方、ハロウィーンは大人たちが酒場で騒ぐための機会にもなっている。バンコク近郊のバーやナイトクラブもパーティは盛んだ。多くの同性愛者が集まるシーロムソイ(Silom Soi)4地区は、路上パーティーが開かれることで有名だ。
「どこのバーもハロウィーンの夜は大忙しだ。お洒落なラウンジからディスコバーまで、ハロウィーンを口実に仮装して踊りまくる常連客らでいっぱいになる」とバー経営者のスチュアート・ダフ(Stuart Duff)さんは語る。
しかし、こうしたパーティーが盛んになっても、カボチャのちょうちんや子どもたちがお菓子をねだる「トリック・オア・トリート(trick-or-treating)」は浸透していないようだ。結局、あくまでハロウィーンは外国のコンセプトによる祭なのだ。
バンコクのデパートでYuporn Seriyingyosさんの娘(7)は、仮装用のマスクを次々と試着して楽しそうだ。だが、Yupornさんは家族でパーティーに行く予定はないという。
「娘が喜ぶから買ってあげるだけ。デザインが気に入ってるみたい」
写真は30日、バンコクのショッピングセンターに飾られたハロウィーンのマスク。(c)AFP/PORNCHAI KITTIWONGSAKUL
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