国際ニュース検索

3D技術が解いたモナ・リザの謎 - カナダ

  • 2006年09月27日 10:03 発信地:カナダ
  • 写真
  • ブログ

関連写真 4

写真は、「モナ・リザ」のサイズを測るレーザー・スキャナー。(c)AFP/NATIONAL RESEARCH COUNCIL OF CANADA

  • 記事をクリッピング
  • 写真をブログにつかう

【オタワ/カナダ 27日 AFP】レオナルド・ダ・ヴィンチ(Leonardo Da Vinci)の名画「モナ・リザ(Mona Lisa)」は、当時妊婦や出産したばかりの女性が着た薄い布をまとい、髪をアップに結い上げていた――カナダ国立研究機構(National Research Council of Canada、NRC)は26日、特殊な赤外線と3D技術を利用して、ニスの下に隠されて見えなくなっていたオリジナルの絵を発見したと発表した。

 オタワ(Ottawa)で開かれた記者会見で、NRCのPierre Coulombe機構長は、「これこそ、これまでわれわれが知らなかった本当の『モナ・リザ』だ」と述べた。

 パリ・ルーブル美術館(Louvre Museum)所蔵の「モナ・リザ」の調査は、仏文化省仏美術館修復研究センター(Centre de Recherche et de Restauration des Musees de France、C2RMF)の依頼で、2004年10月に開始された。

■モナ・リザの髪型の謎が明らかに

 3Dスキャンではまず、現在は両肩を覆うように下ろされているように見える髪が、描かれた当時は後ろで束ねられていたことがわかった。16世紀のイタリアで髪を下ろしているのは少女か娼婦だったため、「モナ・リザ」の髪型についてはこれまでも議論の的になってきたが、「実際の彼女は社会的地位のある大人の女性であることが判明した」とC2RMF研究部学芸員のブルーノ・モッタン(Bruno Mottin)氏は語る。

 また、赤外線走査の結果、「モナ・リザ」が身にまとっている布の1つは、当時の妊婦や出産したばかりの女性が着た服に似ており、黄色のニスに上塗りされて現在では肉眼で確認できなくなっていることもわかったという。

「これまではまったく知られていなかった発見です」とモッタン氏。

■モナ・リザは3人の子どもの母親

 「モナ・リザ」のモデルとなった女性は、3人の子どもを出産したといわれる。ダ・ヴィンチは1503年から1506年の間に、フィレンツェ(Firenze)の裕福な商人、フランチェスコ・デル・ジョコンド(Francesco del Giocondo)から、第2子を出産したばかりの妻の肖像画を依頼された。ダ・ヴィンチは「モナ・リザ」を晩年まで手元から離さなかったが、その間に髪型を変えるなど絵に手を加えた可能性が高い。

 スキャンによって明らかになった本来の「モナ・リザ」では、女性が腰掛けている椅子が現在見えるよりもしっかりと描かれており、女性は椅子に寄りかからず背筋を伸ばして座っていた。

■命を注ぎ込むダ・ヴィンチの技法

 モッタン氏によると、輪郭をぼかすスフマート(sfumato)という手法で軟らかく濃淡の強い陰影表現を用いたダ・ヴィンチの画法についても、より一層の理解を深めることができたという。

「(ダン・ブラウン著の)『ダ・ヴィンチ・コード(The Da Vinci Code)』に書かれているような特殊な謎は、見つかりませんでした。ただ、スフマート画法によって、ダ・ヴィンチが命の本質をとらえようと試みたのは確かです。この絵には、彼の技法のすべてが注ぎこまれています。それがわれわれが発見した『謎』の正体です」(モッタン氏)

 研究者らによると、筆が使われていない部分では、ダ・ヴィンチは自分の指を使った可能性があるというが、絵の上に指紋は残っていない。また、目や微笑を浮かべた口の端など肖像画の暗い部分は他より厚く塗られ、「光沢のある顔料を薄く何層にも重ねて描かれた」ことも明らかになったが、ダ・ヴィンチが実際どのようにして顔料を重ね塗りし、油彩部分だけが残ったのかは不明のままだ。

 NRCのジョン・テーラー(John Taylor)氏は、「非常に薄く、非常に平らに塗られていますが、それでいて巻き毛のディテールなどははっきりと描かれている。現在知られているどんな画法とも異なっています」と語った。

 発表によれば、学芸員らが懸念していた絵の上部にある12センチメートルの傷は安定しており、時間の経過により悪化してはいないようだという。この傷はもとの木枠を外した時にできた傷だと考えられ、18世紀中頃から19世紀初めに修復されたとみられる。
 また、「モナ・リザ」の土台である木製パネルは、中央右部分が縁より12ミリメートル高く反り返ったかたちにゆがんでいるが、微笑みなど絵の構図に影響はないという。

■1930年、1952年の調査以来3度目の本格的調査

 3Dスキャンは、2004年10月にルーブル美術館で2晩かけて行われた。モッタン氏は、毎年700万人が「モナ・リザ」を見にルーブル美術館に足を運ぶことから、研究室で絵を調査する機会はほとんどなく、これまでに1930年、1952年、そして今回の計3回だけしか調査が行われていないと話す。

「彼女は、自分の人気に悩まされているわけです」(モッタン氏)

 今回撮影された3D画像により、学芸員らは絵そのものに触れることなく調査を進めることが可能になった。また、修復技術についても、事前に3Dモデルで実験できるようになった。

 カナダの撮影技術は、以前にもミケランジェロ(Michelangelo)のダビデ像や、ルノワール(Renoir)やコロー(Corot)の絵画のスキャンに利用されている。また、ピーター・ジャクソン(Peter Jackson)監督のハリウッド映画『ロード・オブ・ザ・リング(Lord of the Rings)』3部作に使われたほか、米航空宇宙局(NASA)のスペースシャトル「アトランティス(Atlantis)にも搭載され、ミッション中のシャトルの耐熱タイルの状態をチェックするのに応用されたりもしている。

 写真は、NRCが開発した多重解像度表示システムを利用した「モナ・リザ」のバーチャル3D画像を調査するNRC研究員のMarc Rioux氏。(c)AFP/NATIONAL RESEARCH COUNCIL OF CANADA

関連写真

このニュースをブログに利用する

このニュースをソーシャルブックマークに登録する

  • みんトピに投稿
  • Buzzurlに追加
  • newsing it!
  • トピックイットに投稿する
中南米 北米 中東・アフリカ アジア・オセアニア ヨーロッパ 中東・アフリカ