【9月23日 AFP】国連(UN)は22日、「国際コウモリ年(Year of the Bat)」の開始を宣言した。コウモリについての肯定的な広報活動を通じて、コウモリが授粉や種子の分散において果たしている役割への理解が深まることを目指す。

 国連環境計画(United Nations Environment ProgrammeUNEP)は声明で、「昆虫を食べて害虫駆除に役立っている欧州のコウモリや、熱帯雨林の維持に役立っている熱帯地方のコウモリなど、コウモリは幅広い環境で不可欠な生態系サービスを提供している」と述べた。

 UNEPは、都市化が進み伝染病が拡散する中でコウモリの生息地が減り、コウモリの個体数が大幅に減少していることに警鐘を鳴らした。

 コウモリ保護活動組織「EUROBATS」のAndreas Streit事務総長は、「トラやゾウなどの動物と比べ、コウモリへの好意的な注目はほとんど無い」と語った。

 コウモリはほ乳類で唯一完全な飛行ができる種。全世界に1100種ほどおり、森林破壊などの脅威によりその半数が絶滅の危機にさらされている。

 UNEPは「熱帯地方の経済の中心である果樹栽培は、フルーツコウモリの環境的な貢献に多大に依存している。人類が栽培する収穫植物のうち、授粉や種子分散の一部または全部をコウモリに依存している種は134種に上る」と述べ、「コウモリが環境にかけがえのないサービスを提供していることを、ほとんどの人びとが知らない」と述べた。(c)AFP