【8月22日 AFP】カナダの首都オタワ(Ottawa)市当局が「無人機攻撃」を命じた――といっても、相手は糞便(ふんべん)で川を汚すやっかいなガンたちだ。

 その威厳ある美しい姿とは裏腹に、カナダガンは大量の糞便で川を汚す。それにより川の大腸菌レベルは、川で泳ぐ人に健康被害をもたらすほど上昇している。オタワ市東部のペトリーアイランド(Petrie Island)公園の川辺にあるビーチは昨年、13日間の閉鎖を余儀なくされた。

 同市はこれまでガンを追い払うために、訓練した犬、大騒音発生器、動物のおとりなど、数えきれないほどの手を尽くしてきた。数年前には、異臭を放つ化学物質を噴霧したこともあったが、最終的にガンはその臭いに慣れてしまった。

 現在、ガンの撃退に使われているのは、遠隔操作のできる羽根の幅約65センチのホビー用ヘキサコプターを、害鳥対策用に改造したもの。ペトリーアイランド付近のオタワ川(Ottawa River)で毎日、夜明けとともに出動し、ガンを追い払っている。

 ボブ・モネッテ(Bob Monette)市議会議員は、「とても効果的」とAFPの取材に話す。先月に出動を開始してから、付近のガンの数は数百羽から数十羽に減少。ビーチの閉鎖もされていないという。

 ヘキサコプターの所有者で操縦者のスティーブ・ワンボルト(Steve Wambolt)さんがこのプロジェクトを始めたのは、ある偶然からだった。ワンボルトさんがモネッテ議員に、ヘキサコプターでの空撮サービスを売り込んだところ、ヘキサコプターの別の使用法を打診されたのだ。

「ガンのことなんて何も知らなかったけれど、今ではエキスパートだ」とワンボルトさんは語る。例えば、ガンは天敵の動物や猟師の衣服と似た黒や銀色、明るいオレンジ色を嫌うのだという。

 年3万ドル(約300万円)のプロジェクトは10月末で一旦終了するが、来年もワンボルトさんにガン対策を依頼するつもりだとモネッテ市議は話している。(c)AFP