【8月5日 AFP】世界で初めての人工肉のハンバーガーが5日、ロンドン(London)で希望者に提供される。科学者たちは、このハンバーガーで食の革命が起きると期待を寄せている。

 重量140グラムのパティは、製造に25万ユーロ(約3300万円)以上の費用がかかった。生きたウシから取り出した筋肉細胞を培養して人工肉を作り、それに塩と卵粉、パン粉を加え、ビートの根の赤いジュースとサフランで着色してパティを形成した。科学者らは、味はふつうのハンバーガーと似ていると主張する。

 開発したのはオランダ・マーストリヒト大学(Maastricht University)のマルク・ポスト(Mark Post)氏の研究室。ポスト氏は、人工肉は安全で、従来の肉を置き換える可能性もあると語る。

 ポスト氏は5日のイベントで「世界が直面している大きな問題に対する回答になるが故に、この試みは重要だ」と語った。肉の需要が世界的に高まっていることから、家畜用飼料の消費増やメタンガスの生成増加によって地球温暖化に影響が出ることが懸念されている。

「われわれのバーガーは、ウシから取り出した筋肉細胞から作られている。作り替えたわけではない。成功するためには、見た目、食感、味が本物のようになる必要がある」(マルク・ポスト氏)

 研究チームは、ウシから取り出した細胞を栄養溶液に入れ、筋組織を培養。これを細い肉片に成長させ、肉片2万個でハンバーガーを作った。

 史上初となる5日の試食会では、最高で2人の希望者に提供されるという。

 現状は極めて高価だが、生産量の増加と比例して培養肉の価格は低下する見通し。研究チームは、スーパーで販売されるようになるまであと10~20年と見積もっている。(c)AFP