【7月19日 AFP】頭部の極めて長い角と巨大な鼻が特徴のケラトプス(角竜)類の新種恐竜の化石を発見したとする米ユタ大学(University of Utah)の論文が、17日の英学術専門誌「英国王立協会紀要(Proceedings of the Royal Society B)」に掲載された。

「ナーストケラトプス・ティトゥシ(Nasutoceratops titusi)」と呼ばれるこの草食恐竜の化石は2006年、ユタ州中南部の砂漠地帯「グランド・ステアケース・エスカランテ・ナショナル・モニュメント(Grand Staircase-Escalante National Monument)」で発見された。3本の角が特徴的なトリケラトプスに代表される角竜類に属し、約7600万年前の後期白亜紀に「失われた大陸ララミディア(Laramidia)」に生息していた。ある仮説によると、北米大陸はかつて浅い海によって東西に分断されていたが、ララミディアはその西側の大陸で、大きさは現在のオーストラリア大陸ほどだった。

 研究チームによると、ナーストケラトプス・ティトゥシは角竜類の中でも「異例の」存在だという。

 ほぼ無傷で発見された頭蓋骨は、巨大な鼻、目の上から前方に張り出した刃物のような形の極めて長い角の他、角竜類に特徴的なフリルを持っている。角の先から尾の先までの全長は約4メートル。角竜類は非常に大きな鼻を持つのが特徴だが、中でもナーストケラトプス・ティトゥシの鼻は「チャンピオン級」だという。

 だが、なぜそうした鼻を持つのかは明らかになっていない。

 ユタ大学のスコット・サンプソン(Scott Sampson)氏によると、においを感じ取る器官は頭部後方の脳に近い位置に存在するため、ナーストケラトプス・ティトゥシのジャンボサイズの鼻は嗅覚を高めることとは関係ないという。「この奇妙な容姿が持つ機能についてはいまだ不明だ」

 一方、研究チームのマーク・ローウェン(Mark Loewen)氏は、ナーストケラトプス・ティトゥシの「驚くべき角」はむしろ視覚的に優越さを示すために使われたと考えられ、それだけでは不十分な時には相手と交戦するための武器となったのではないかと同氏は話している。(c)AFP