【6月13日 AFP】チーターは地上最速の動物として知られているが、そのスピードと同じぐらい重要なのは、ブレーキをかける能力であり、この能力が獲物を追う際のとっさの方向転換を可能にしていることが分かったとの研究結果が12日、発表された。

 英国のチームはこの研究で、ボツワナでチーターの雌3頭と雄2頭を捕獲し、位置と動作を記録するため、全地球測位システム(GPS)、加速度計、ジャイロスコープを備えた特製の首輪を装着した。

 野生に戻されたチーターたちの活動は17か月間にわたり記録された。5頭はこの間、計367回の狩りを行った。

 記録された最高時速は93キロメートルで、これまで確認された最速のチーターの記録との時速の差はわずか7キロだった。

■特筆すべきは加速・減速の能力

 だがその速さよりもチームの関心を集めたのは、チーターが持つ加速と減速の能力だった。チーターはたったの一蹴りで、1秒当たり最大秒速3メートル加速したり、同4メートル減速したりする能力を持っていた。

 こういった急加速・急ストップを実現しているのは、チーターが持つ優れた骨格だという。この骨格は、全体重の約45%を占める脚や背中の筋肉によって支えられている。

 英ロンドン大(University of London)王立獣医カレッジ(Royal Veterinary College)の研究者率いるチームは論文の中で、「陸生哺乳類を対象に、横方向・前方向の加速、減速、そして体重比の能力をここまで高精度で計測できたのは初めて」と述べている。

 類いまれな能力を持つチーターでも、食事にありつくには努力が必要だ。367回の狩りのうち、成功したのは26%に当たる94回だけだった。(c)AFP