【6月6日 AFP】これまで見つかった霊長類化石としては最古の約5500万年前に樹上で生活していた小型霊長類の化石を、中国湖北(Hubei)省で発見したと、中国や米国などの研究チームが5日、発表した。論文は英科学誌ネイチャー(Nature)に掲載される。

 この発見により、ヒトを含む霊長類の起源がアジアにあったとする説が強化されたとチームは述べている。

 研究を率いた中国科学院(Chinese Academy of Sciences)の喜軍(Xijun Ni)氏によると、この化石は10年前、湖北(Hubei)省荊州(Jingzhou)市近郊の採石場で見つかり、氏の元に持ち込まれた。だが、その完全な姿を再現するのには、3Dスキャン技術などによる何年もの辛抱強い作業が必要だった。

 姿を現したのは、体高わずか数センチメートル、体重わずか30グラム余りの奇妙な霊長類で、マダガスカルに現在生息する世界最小の霊長類「ピグミーネズミキツネザル」よりも小さかった。そのすらっとした四肢や長い尻尾、細い指などから、木々の枝を跳び回り、日中に活動して昆虫を主食としていたと考えられると、氏は話している。

 新種は「最初の長い尾のサル」という意味の「アーキケブス・アキレス(Archicebus achilles)」と命名された。「アキレス」はギリシャ神話に登場する戦士の名前で、このサルが持つ奇妙な足関節の形にちなんでいる。

 ほぼ完全な骨格が残っていたこの標本は、これまで最古とされてきたドイツと米国の霊長類化石を700万年さかのぼる。(c)AFP/Richard INGHAM