【5月27日 AFP】月のクレーターで観察された鉱物は、これまで考えられていたような小惑星の衝突により月の内部から出現したものではなく、小惑星が月に衝突した際の残留物だとする論文が26日、英科学誌ネイチャージオサイエンス(Nature Geoscience)に発表された。米中の科学者チームによるこの論文は、ほとんど明らかになっていない月の組成に疑問を投げかけている。

 スピネルやかんらん石といった稀な鉱物は、月のクレーターの多くで見つかっているが、月の表面にはめったにない。そのため、これらの鉱物は小惑星の衝突により、月面下層部から掘り出されたものだと考えられてきた。

 スピネルやかんらん石は小惑星や隕石の一般的な構成要素で、コペルニクス(Copernicus)、テオフィルス(Theophilus)、ティコ(Tycho)といった直径約100キロメートル前後の月のクレーターの床面および中央丘の周辺で発見されている。

 研究チームが月のクレーターの生成をシミュレーションしたところ、秒速12キロメートル以下の衝撃速度では、発射体は衝撃に耐えうるが、砕けて変形することがわかった。

 研究チームは、「月の多くの衝突クレーターの中央丘で観察された稀な鉱物の一部は、外因性のものである可能性があり、月に固有のものではないかもしれない」と結論づけている。(c)AFP