【5月16日 AFP】15億年以上前の水の中から、生命の維持に必要な化学物質を発見したと、英国とカナダの合同研究チームが15日、英科学誌ネイチャー(Nature)で発表した。現在は同じ水の中に、太古から生き続ける微生物の痕跡がないか研究を行っているという。

 この水は、カナダ・オンタリオ(Ontario)州の地下2.4キロメートルにある鉱坑に開けた穴から採取されたもので、数十億年もの間、地中の岩の隙間に閉じ込められていたと考えられている。

 研究チームは声明で「この水は地球で最も古いものの一つで、中には生命体が存在する可能性もある」と述べている。

■火星に生命維持が可能な水が存在する可能性も

 さらには、この水が閉じ込められていた岩と火星の岩が似ていることから、火星の地下深くにも生命の維持が可能な水が存在する可能性が生まれたという。チームは「この発見により、われわれは地球のどの場所が生命に適しているかを再考する必要性に迫られるかもしれない」と話す。

 研究チームはこの水の中に、水素やメタンといったガスが豊富に溶解していることを発見した。これらのガスは、数十億年にわたり太陽の光が届かない海底のような環境で、微生物の生存を可能にする物質だ。

 これまで見つかった同じ年代の水は、全て岩の中の極めて小さな泡状の隙間に閉じ込められていたため、生命を維持することはできなかった。(c)AFP