【4月5日 AFP】英オックスフォード大学(Oxford University)の研究者らが4日、カスタムメイドの3Dプリンターを使い、生体組織に似た物質を作成したとする研究結果を発表した。この物質は将来、医療目的で利用できる可能性があるという。研究結果は、5日発行の米科学誌「サイエンス(Science)」にも掲載された。

 この物質は数千の小滴を結合させ、脂質薄膜に包んでカプセル化したもので、ヒト細胞の機能の一部を果たすことができる。研究を行ったオックスフォード大学によると、「小滴のネットワーク」は、薬物の送達に使われる新技術の基礎的要素にもなる得るもので、将来的には、損傷した組織に取って変わる可能性もあるという。

 また、「小滴のネットワーク」は完全な合成物質であることから遺伝情報を含んでおらず、複製されない。そのため幹細胞を使う方法など、人工組織を作るその他の方法に生じる問題点とも無関係だ。

 研究を主導した同大学の化学研究所のヘイガン・ベイリー(Hagan Bayley)教授は発表した声明で、「組織を忠実に再現したような物質を作ろうとしているわけではなく、組織の機能を果たせる構造体を作り出すことを目指している」と説明している。(c)AFP