【1月17日 AFP】東京海洋大学(Tokyo University of Marine Science and Technology)の吉崎悟朗(Goro Yoshizaki)教授の研究グループが、サケ科のニジマスを「宿主」として使って同じサケ科のヤマメを生み出すことに成功した。絶滅が危惧される種の保存に活用できるのではと期待が寄せられている。吉崎氏が15日、語った。

 研究チームは凍結保存したヤマメの精巣を解凍し、そこから精原細胞(精子の元になる細胞)を取り出して、ふ化直後のニジマスに移植した。するとニジマスが雄の場合にはこの精原細胞が精子になり、雌の場合には卵になった。これら卵と精子を人工授精することで、健康なヤマメを生み出すことに成功した。

 吉崎氏はAFPの取材に対し、サケ科の魚に関しては今回の手法で卵と精子を作り出し、元の魚を生み出すことができると語った。研究チームは同じ手法でトラフグを生み出すことにも成功しているという。

 吉崎教授の研究チームは、魚類の絶滅危惧種の保存プロジェクトにすでに乗り出している。また、両生類についても同じ手法を使うことができないか研究を進めているという。

 吉崎氏は今後、段階的に研究を進めていくことで最終的に爬(は)虫類やほ乳類でもこの技術を使えるようにしたいと考えている。だが、ほ乳類の雄と雌の遺伝子の違いは魚類と比べてはるかに大きいことから、乗り越えるべき壁はまだ高いと語った。

 研究は米科学アカデミー紀要(Proceedings of the National Academy of SciencesPNAS)電子版に掲載された。(c)AFP